オランダで勤務する際の確定申告

オランダでの生活も半年が経過しました。ようやく仕事にも慣れてきて 、家族もこちらの生活に慣れてきたところですが、続々と新しいチャレンジはでてきます。子供の幼稚園探しや確定申告が目下のチャレンジですが、まずはオランダで勤務していて、給与以外に株式投資などの若干の収入がある場合にどのように確定申告を行うのか知る必要があったので調べました。

課税対象の収入

オランダで課税対象となる収入には以下の三種類があります:

  • Box1:就労や家賃収入など
  • Box2:株式売却益・配当など
  • Box3:貯蓄・投資など

課税率

上記のBox毎に異なる課税率が設定されています:

  • Box1:収入に応じた累型で最大52%
  • Box2:25%
  • Box3:30%

控除対象の経費

控除対象の項目もBox毎に異なります:

  • Box1:交通費、住宅ローンの利子、保険など
  • Box2:株式売却損の利益通算
  • Box3:なし
  • Box1-3の限定がない控除対象:医療費、教育費、寄付、企業のための損失など

他者との通算

上記Box毎の税額の計算は個人別に行われますが、配偶者やパートナーであれば「財務パートナー」として収入・経費を統合して計算することができる場合があります。

課税対象 or Not
オランダ国内に居住している人がオランダの課税対象ですが、居住しているか否かは主に①該当する一年間におけるオランダ国内の居住期間②生活に必要な家財がオランダ国内の住所にあるかいなか で判断されるようです。

提出期限 ※変わる場合あり

確定申告の書類は4/1までに提出する必要があります。税務署は1月に申請書を送付し、また雇用主は年末調整の書類を付与します。4/1までに確定申告書類の提出が完了している場合、7/1までに結果通知書が送付されてきます。

書類の種別

  • P-form:一般のオランダ居住・勤務者を対象とした書類で、ウェブから申請が可能。ウェブでの申請のためにはDigidが必要。Digidとは、オランダで生活をしている人それぞれに付与される電子政府管理IDでああり、所得額や給与明細、保険や年金の加入・支払状況などを一元管理する仕組みで、ウェブからアクセス可能になっています。
  • M-form:MはMigrationの意味で、該当年の途中でオランダに居住を開始した人を対象とした書類です。ウェブ申請不可。
  • C-form:オランダ国外に住む人がオランダ国内における収入がある場合に 記入するフォーム。ウェブから申請が可能。
  • O form:自営業、フリーランスの人が対象。ウェブから申請が可能。

参考

欧州のフードデリバリーサービスの比較

オランダでの生活も1.5ヶ月が過ぎて、ようやく落ち着きが出てきました。気温は未だに10℃まで行かないことが多く、桜が咲いている暖かな日本がうらやましい限りです。
さて、いま私が仕事で携わっている欧州のフードデリバリーサービスについて比較してみました。次回は欧州以外も分析してみたいと思います。なお、全て公開情報に基づいています。

欧州におけるフードデリバリー市場の状況
Just Eats(UK)、Takeaway.com(NL)、Deliveroo(UK)、Delivery Hero(DE)の4強状態になっている。各社ともその他の中小企業の合併合戦により、欧州以外の国においても激しいシェア拡大を行っている。なお、拡大の対象外となっている地域が日本・米国・中国・アフリカ・インドで、日本・米国・中国・インドは地場の強力なプレーヤーがいないため参入障壁が高い模様。
アフリカについてもそもそも社会インフラが未整備の部分が多いからであろう。

各社ともに成長速度が非常に早いため、順位はつけがたいが、最も勢いがあるのがDelivery Heroで、東南アジア及び東欧で一勢力を誇っていたFoodpandaを2016年に買収し、世界40カ国でビジネスを展開している。
一方で、急激に世界各地でM&Aを展開した代償は後々響いてくるはずであり、IR情報の少なさは社内情報システムの統制があまり進んでいないことをうかがわせる。

勢い・サイズという面で二番手はイギリスのJust Eat。欧州で最も経済力のあるイギリスと、フランス・スペインといった西欧の覇権を握っている。

三番手がオランダのTakeaway.com。オランダ・ドイツ・ベルギー・スイス・ポーランドなど中東欧地域で市場をリード。アニュアルレポートの公表がJust Eat, Takeaway.com, Delivery Heroの三社の中で最も早いところを見ると、最も内部のレポーティングシステム上は進んでいると思われる。一方で、中東欧地域以外への今後の展開が課題。

四番手がDeliveroo。未公開企業のため情報が少ないが、UKでJust Eatsについで二番手に位置し、また欧州全体にビジネスを展開。
マーケットリーダーの市場を確保できていないところが弱み。

各社がとるべき戦略案

  • Just Eats(UK)

イギリス、西欧のシェアトップの位置を堅持し、その他地域への進出を進める。これまでに培った、進出先でマーケットリーダーになったノウハウを活用し、進出した国で確実にマーケットリーダーになる方針を進めるべきで、逆にいうと過剰に多くの地域への進出をすべきではない。

  • Delivery Hero(DE)

急拡大の結果、進出先41カ国中の36カ国においてシェアトップの座にいるが、急拡大の結果社内統制が乱れていることが想像される。そのため、一定期間社内の交通整理に時間を割くのがよいと思われる。一方で米国・中国・インド等からグローバルの覇権争いの黒船が現れることも考えられるため、注意が必要。

  • Takeaway.com(NL)

中東欧首位の地位を確実なものにしながら、他の地域への進出を進めるべき。サイズ的に現時点ではJust Eats、Delivery Heroにはかなわないため、独自の武器を磨くべきであり、シェアトップの国で別の形でもビジネス展開を狙うことも考えるべき。

  • Deliveroo(UK)

強みを持つ拠点か、あるいは三社から差別化が可能なサービスの開発が急務であり、いわゆる弱者の戦略が必要。

 

企業名 売上高(2017) 市場 提携レストラン数(2017)
Just Eat UK 546.3 M GBP (622M EUR) イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、デンマーク、フランス、アイルランドノルウェー、スイス、イタリア、メキシコ、スペイン 82,300
Takeaway.com NL 166.5M EUR オランダ、ドイツ、ポーランドオーストリアルクセンブルグポルトガルベトナムブルガリアルーマニア 32,929
Deliveroo UK 128.6M BP (146.6M EUR) (2016) イギリス、オランダ、フランス、ドイツ、ベルギー、アイルランド、スペイン、イタリア、オーストラリア、シンガポールUAE、香港 不明
Delivery Hero (Foodra, Foodpanda) DE 544.2M EUR 欧州(オーストリアボスニアヘルツェゴビナブルガリアクロアチアチェコフィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャハンガリー、イタリア、モンテネグロ、オランダ、ノルウェールーマニアセルビアスウェーデン、スイス)に加え、グローバルで40カ国 150,000

 <参考>

各社ウェブサイト、Wikipedia

About 60 million Europeans order food delivery in online mode, - CIG review

project.amsterdam

アムステルダムのデータ分析の仕事を偶然見つけた、「project.amsterdam」の2018年版が開始されました。

project.amsterdam

 

3/5に公開され、4/15まで応募を受けてつけているそうです。人材を募集 する企業側は、全部で10社Q(Adyen、BTC.com、Dimebox、 Effectory、Elsevier、Flow Traders、Mollie Payments、Optiver、Picnic、Takeaway.com)がエントリーしており、software engineers、data analysts、PHP developers、data engineers、other ICT expertsと いった職種が応募の対象です。

前回のproject.amsterdamで一緒だった人がAdyenに入社していたので、Adyenには以前から興味を持っており、また最近色々なところでも先進的な決済サービスプロバイダとして名前を聞くようになったので、調べてみました。

特徴1:お店側・エンドユーザーの支払い手段を選ばない

例えばPaypalでは、お店側がPaypalのみで決済を行っている場合、商品を購入するエンドユーザー側もそれに併せてPaypalで支払を行わなければいけません。一方でAdyenは、お店側とエンドユーザー側をつなぐプラットフォームを柔軟にし、エンドユーザー側がPaypal以外の決済手段も選ぶことができようにすることで、決済手段の自由度を高めています。

150以上の通貨と200以上の決済方法を採用しているということで、その柔軟性が評価されて、eBayが決済サービスをPayPalからAdyenに段階的移行するという方針転換を発表して話題になりました。

eBayのような大企業になるともはやお店というレベルではないですが、数百にもなる異なる決済手段で行われた取引を一元管理できて、即座に収益を確認できることは大きなメリットになります。

特徴2:お店が持つ既存のシステムからの変更が不要

Adyenはお店側とエンドユーザーをつなぐプラットフォームを提供しますが、そのプラットフォームに接続する際はAdyenが提供するAPIを介するのみです。つまり、クレジットカードで支払を行う際のように、ウェブサイトで商品の購入を「決定」した後に、クレジットカード会社の決済画面に飛ぶ、ということはなく、お店のウェブサイトの中で支払が完了します。

このことは、エンドユーザーの顧客体験が向上するということよりも、お店側にとって、決済に関するシステムの改修が極端に少なくてすむというメリットが大きな意味を持ちます。

特徴3:不正管理機能が強固

様々な種類の決済履歴データを保持することから、競合他社よりも高い精度で、不正の疑いが強い取引を特定することができるそうです。昨今タックスヘイヴン関連の事件で、世界的に脱税やテロ組織への送金の取り締まり強化が各国中央銀行から求められているため、不正な取引の防止を求めるニーズが世界中で高まっており、そこに強みを持つことはAdyenにとって追い風となりえます。

特徴4 :黒字

2011年から黒字経営を続けており、その収益性が評価され、シリコンバレーベンチャーキャピタルIconiq Capitalから投資をうけています。$1Bを超える未公開企業に冠されるユニコーンとしても注目を集めています。2016年に売上が727M USDで、取扱額は90B USDと年々拡大しています。

すでに決済分野で支配的になっているPaypalに加え、Square、Stripe、iZettle、Klarnaといったところが今後の国際的な電子決済市場における競合と目されており、次世代の決済プラットフォームの支配権をめぐる争いが激しくなっています。

オランダと日本の決済手段の違い

最近、仮想通貨やFintech等の次世代の金融システムと目される仕組みが注目を集めていますが、オランダ(及びEU内)では、すでに日本とはかなり異なる決済の仕組みが日常的に活用されています。

最大の違いは電子マネーの普及度合いです。日本では電子マネーの決済比率が13.6%(2016年)とのことですが、オランダの場合50.3%(2015年)です。

オランダにおける2010~2015年のデビットと現金決済の推移

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日本の売上高に対する各決済手段利用金額の占める割合

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 現金決済ではなく、電子マネーで決済をすることで、主に以下のメリットがあります:

  1. 商取引が高速化する
  2. 場所を選ばない商取引が可能になる
  3. お店・買い物客の双方が現金を持ち歩かなくて良いため防犯につながる
  4. カードだけ持ち運べばよいので手軽である
  5. 使用履歴が残るので、資産管理しやすい
  6. 場所を選ばない商取引が可能になる

そもそも電子マネーの普及につながっている最大の要因は、全EU圏内の振込手数料の無料化・即時化です。1999年の単一通貨「ユーロ」の誕生に伴い、EU圏内での決済も効率化する必要性がでてきました。そのため、EUではSEPA(Single Euro Payments Area)というユーロ通貨圏全域をひとつのリテール決済圏として統合するプロジェクト を実施し、2014年に全EU圏で本格始動しました。
オランダでは、それに先んじて、2005年に銀行とリテイラーがひざを突き合わせて議論し田結果、旧来から他国より普及していたデビットカードというインフラに、SEPAの決済システムをつなげた仕組みを導入した結果、デビットカード+電子マネーというオランダ独自の効率的な決済システムができあがり現在に至ります。オランダという国は、節目節目で官民が「ひざを突き合わせて」話をしたエピソードが満載なのですが、それは小国かつ資源がないため、そうでもしないと生き残れないという危機感がそうさせているようです。

結果として、商取引が即時化・簡素化・低価格化し、現在では個人間のお金のやり取りのようなレベルまでその効果が現れています。
例えば、退職する同僚向けのプレゼントを買った際に、一人5ユーロずつ払ってね、という場合にも、支払った人のIBANを聞いて、そこに直接送金すればOK。あるいは、募金の際も振込先のIBANを聞いて、送金しておわり。オランダ国内であれば、即時相手方の口座に振込みが反映され、EU圏内のオランダ以外の国であっても、最大1日で振込みが完了するとのことです。もちろん手数料は無料。

日本では、同一行宛ての振込みであっても108円、他行宛で金額が大きいと432円程度の振り込み手数料がかかり、かつ15時までであれば即日振込みが完了だが、15時以降だと翌日の振込みになるというのが大多数です。

買い物の際も、現金で決済することはほとんどなく、デビットカードでピッとタッチすれば終わり。ほとんどの決済がデビットカードでなされるので、後からネットバンキングのサイト、あるいはスマートフォンのアプリから使用履歴、残高をリアルタイムに確認することが可能です。

また、会社の同僚と昼食に行った際に、個々人が食べたものを別々で支払をしたいことがよくありますが、現金決済だと一人ひとり現金を店員に渡し、店員がおつりをレジから出して渡すという一連の作業を、人数分行わなければいけないので結構な手間です。デビットカードの決済であれば、個々人がカードをスキャンすればよいのでスムーズです。日本にいたときに、使用履歴を残したかったのでクレジットカードでの支払を心がけていましたが、昼食の支払にクレジットカードが使えないレストランがかなりあるのと、使えても決済のデータの処理速度が遅くて、かえってストレスである場面があり、違いを感じます。

日常的に現実に行われている決済の段階で、日本とオランダでは大きな差がついていることを感じざるを得ませんが、当然のことながらオランダでは、さらに先を見据えたフィンテック関連のスタートアップ企業も多く存在するため、今後の両者の決済手段の差はますます広がっていく一方なのではないかと感じます。

<参考>
SEPA: http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/kessai_sg/siryou/20141020/04.pdf

 

住む家を探す

オランダに着いてから最初の一ヶ月は、Air BnBの仮住まい生活で、その間に自力で住む家探してね、というスタイルなのですが、私たち家族が目星をつけていたAmsterdamから電車で15分のHaarlemという街は、想像以上に人気の街で、貸物件サイトに出てきてもすぐに誰かに取られてしまう状態です。Amsterdam市内も相当な不動産の加熱振りですが、家族連れに人気の高いHaarlem市も同じくらい加熱している状況です。

そのため、相当な数のEメールを連日賃貸物件サイト経由で不動産仲介業者に送りましたが、まず送ったうちの70%は返事がない。残り20%は返事があっても、「すでに他の人が借りているので無理」。残りの10%が内覧候補として残るのみという状況です。

メジャーな賃貸物件サイトはこちら:

もちろん、内覧できた物件が即自分が気に入る物件であるというわけではないので、最終的に市場に残っていて、かつ自分が気に入る物件というのは3%ぐらいの感覚です。そのため、世界の各国から来ている同僚たち(ほとんどの人はアムステルダムに住んでいる)も、「物件探すのちょー大変だから!」といって色々気にかけてくれました。インド系・中国系の人たちは、独自のコミュニティーが形成されているため、そのコミュニティーの中で人づてで物件の貸し借りをしているようです。

さて、そういった加熱した賃貸不動産市場にめげず、Haarlemの家にこだわって探し続けたところ、ようやく目ぼしい物件を発見!即仲介業者にメールして、内覧を申し込み、翌日には契約の由を伝え、何とか住居を確保するに至りました。 約三週間に及ぶオランダでの住居探しの中で、効率的に良い物件を探すための方法論が築かれたのでご紹介します:

1.賃貸仲介業者自体のサイトで紹介がなされた後、残ったものが、上記の賃貸物件サイトに上がってくることが多いため、これらの賃貸物件サイトを見てから申し込んでも空振りになることが多い 2.そのため、上記の賃貸物件サイトに名前が挙がっている賃貸仲介業者の名前を把握し、賃貸仲介業者自体のサイトを個別に見ていったほうが、他の人が未着手の物件に遭遇する可能性が高い。特に、物件探しの競合となる他のExpatはここまで見ていないことが多い。例えば以下のサイト:

www.randstadwonen.com

3.住みたいエリアを歩き、「For Rent」あるいは「Te Huur」と書いてある看板を探し、看板を掲載している業者にコンタクトする。直接的にその看板が好みの物件でなかったとしても、その地域で商売をしている業者が高確度で確認できる。「For Sell」「Te Koop」という販売用物件の看板でも情報を仕入れる上では役に立つ。

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外国人技術者の活用

オランダでの生活も二週間が経過。現地企業での仕事も始まって、ようやく生活している感がでてきました。

わたしが勤務するTakeaway.comは、いわゆるフードデリバリービジネスを手がけており、日本では知名度はあまりないですが、オランダ・ドイツおよ びその周辺のドイツ語圏ではマーケットシェアがトップで、いわばUbser Eatsのオランダ版といったところです。

ヨーロッパ、特にオランダでは、外食は特別な時のものであり、日本のように日常的に外食する文化ではなかったようですが、近年のライフスタイルの変化により、特に若い世代では外食する習慣が広がっています。

それが後押しとなり、フードデリバリー・ビジネスも急速に拡大しています。


私が所属するBusiness Intelligenceチームは、ウェブや携帯の注文履歴データを用いて、自社のサービスを利用するエンドユーザーとレストランの 質と量を高めるための示唆を導出するというのがミッション、ということになります。
そのため、TableauのようなBIツールや、Rを使った購買予測モデルの構築を行い、セールスやマーケティングといったビジネスユーザーに示唆を提供して、業務施策を実行していくことになります。

チームは多国籍の人材で構成されており、オランダ・ドイツ・フランス・インド・中国が主な出身地です。チームに日本人は私一人だけで、全社でも日本人はたぶん私だけのはずです。

この会社で働く機会を頂いたきっかけが、アムステルダム市が主催するProject Amsterdam(https://project.amsterdam/)という世界から技術者を募集 するプログラムなので、昨年9月に実施されたのが第一回で、今年の3月に第二回を実施するとのことです。
このプログラムを通じて採用いただけたことで、HSM(Highly Skilled Migrant)という、通常の労働ビザよりもメリットがあるビザで勤務することが可能となりました。

日本で勤務していたときも、かなり国際的なチームで仕事をしていましたが、オランダで仕事をするまでのこういった過程を経験して、国ごとの外国 人技術者の採用の政策に興味が出始めたので、日本・オランダと、外国人の活用にかねてから積極的なシンガポールの三国の外国人技術者に対する誘致政策について調べてみました。

比較してみた結果、以下が気づいた点です。公的機関のレポートに基づいた部分もありますが、一部私見も入ってます。

 

【オランダ】

  • 高度の技術を持った移民の受け入れに積極的なものの、全体的な方向性は未だ不明確である。
  • 一方で、減税の付与と配偶者の労働許可と いうメリットの訴求は、移民側にとって魅力的な施策となっており、技術を持った移民の効率的な受入れの実現に結びついている。
  • 但し、移民の受入れに大きな成功を収めているスイスやデンマークと比較し、知名度および受け皿となる企業のブランド力・絶対数に劣るため、その改善が必要。

【日本】

  • オランダと同様に、高度の技術を持った移民の受け入れに積極的になりつつあるものの、方向性が研究職に偏っており、ビジネス面で活躍す る人材を強化しているとは言い難い。
  • また、移民側も、日本の労働環境に魅力を感じているとは言い難く、そのことが移民の受入れ促進上の障壁とな っている。

シンガポール

  • 長年国策として移民を積極的に受け入れてきたため、受け入れを強化したい移民のスキルが明確に定義されており、かつ定着化のた めの施策も明確であり、各種の労働ビザと申し込み条件を設定している。
  • 一方で外国人労働者の国民に占める割合が46%に達したという予測もあり、労働環境に恵まれていない自国民の不満が高まっているため、近年はむしろ移民の受入れを厳格化している。

外国人の会社勤めの技術者の方が労働許可を得るにあたっての条件・メリットは以下の通りです。

 

外国人労働者比率※ 高度人材獲得の上での課題 条件 メリット
オランダ 12.1% オランダの労働市場と優遇措置への認知度の低さ ・年収の下限設定がある(30歳以上: 月収€4,404以上、30歳以下: 月収€3,229以上等)
・事前に雇用主が、政府から許可を与えていること
・収入の30%について、税金がかからない
・配偶者の就労
・自営業が可能
日本 1.8% 長時間労働、評価システムの不透明性、昇進の遅さなどによる日本の労働環境への不満 ・年収の下限設定がある(年収300万円以上、年収と年齢により、加点される)
・学歴・職歴・年収・年齢などに基づいたポイントが70点を越えること
・大学での研究活動と事業の経営を並行して行うなど複数の在留資格にまたがるような活動を行うことができる
・在留期間「5年」の付与
永住許可要件の緩和
・配偶者の就労
・一定の条件の下での親の帯同の許容
・一定の条件の下での家事使用人の帯同の許容
シンガポール 46% 外国人労働者を多数受け入れていることによる国民の不満の拡大。現在はむしろ受け入れ条件を厳格化。 ・年収の下限設定がある(月収S$3,600以上)
・管理職、専門職など高度な技術を保持すること
・配偶者の就労(2018年より月収S$6,000以上の条件を満たす場合のみ)

※2017年、国連統計の推定値

オランダ到着。

2018年2月10日、ついにオランダに戻って来ました。前職のコンサルティング会社のプロジェクトでオランダ、アムステルダムで1年生活したことで、オランダの魅力に取り付かれ、いつか戻ってこようと試行錯誤した結果、4年という意外と早い期間で戻ることができました。

しかも、力を注いでいるデータ分析の仕事をさせていただけるオファーをいただけたのは千載一遇のチャンスという以外の何物でございません。

前職の方々には非常に多くのご迷惑をかけることになるものの、可能な限り誠意を尽くして引継ぎをしてオランダ企業への転職を果たしたのでした。

就職するオランダ企業の人事の方とビザ取得に関するやり取りを続け、ついに移民局(IN Amsterdam)でビザをもらう日。
Highly skilled migrant(HSM)という高度なスキルを持った移住者のカテゴリーのビザを申請頂けるということで、そうなると手続きも通常のビザよりもスムーズに進むとのこと。

Amsterdam Zuid駅からすぐのIN Amsterdamにアポイントの時間に行き、パスポートを渡せばすぐにビザのステッカーをパスポートに貼ってもらえました。

本当は住所登録と、BSN(Burgerservicenummer)、住民登録番号の発行まで行うのですが、会社の住所を記した書類がもらえていなかったので、再訪問のアポイントメントを設定し、また後日来ることとなりました。