データ分析チームの話

ブログのタイトルに「アムステルダムからデータ分析で・・・」などと書いている割には、あまりデータ分析について触れていなかったので、触れることにする。

現在、わたしのチームは私を含めて11名。出身国別の内訳は以下の通り。

オランダ:3 中国:3 トルコ:2 インド:1 キルギスタン:1 日本:1

他にもイスラエルの分析メンバーを助けたりしているので、結構な多国籍ぶりである。データ分析という業種の好きなところは、出身がどのような地域や文化であっても、以下の理由により一緒に働くことが容易であることだ

①世界中でスキルが標準化されている

②プログラミング、あるいは分析結果の読み取りには言語の壁がほぼないので、一程度の英語ができれば、結果を出しやすい

クラウド環境のおかげで、地理的制約を受けにくい

これがセールスやマーケティングとなると、どうしても言語や地域ごとの特色の影響を受けやすくなるのでどうしてもローカルの人材が必要になる。

さてそのことがもう一つの面白い現象を起こしていて、その時々の政治・社会の情勢に応じて、結構な規模感で人材が国際的に動き回っている。

インド人データ分析者の動き

例えばいまは米国のトランプ政権によって、外国人労働者を少なくして、国内の人材になるべく雇用を優先的に割り当てようといういわば「地産地消」の方針が打ち出されている。結果として、2000年代に大量に米国に移住したインド系エンジニアたちが働き口を米国から欧州に求めて移動している動きがある。これを後押しするもう一つの理由が米国の異常なまでの生活コスト高。例えばニューヨークのマンハッタンや、サンフランシスコでは月のアパート代が最低4000ドルというからすさまじい。それで住めるのはワンルームマンションなので、家族持ちには到底不十分。

中国人データ分析者の動き

ウチのチームに三人中国人データ分析者がいるが、優秀度合いは半端ない。しかも英語もできる。彼らはまず歴史的に世界中に親せきがいて、家族間のつながりが密なので、世界的に均等に分布しているイメージがある。もちろん米国に移住する人たちは多いが、欧州にもたくさんの中国の方々が居住している。なので、あまり時々の情勢で大陸間を移動するようなことはせず、欧州なら欧州に定住している。今後テンセントやアリババが中国国外でも大きくなる可能性が高いので、様子見、ということもあろう。

トルコ人データ分析者の動き

興味深いのはトルコ系。トルコの政局は近頃不安定でエルドアン大統領が強引な政策をとっているのに嫌気をさして、国外に働き口を求める優秀な人材が結構多い。それでいて単価も欧州の7割ぐらいだから、本来であれば日本政府はこういう人たちを積極的に誘致すべきである。

トルコ系データ分析者の人たちは歴史的にドイツをはじめとした欧州に親戚が多くいるので、そのつてで欧州、およびオランダに来ている人は結構いる。

ブラジル系データ分析者の動き

ウチのチームにブラジル人のひとはいないが、会社にはブラジル出身の優秀な人は結構いて、またウチのチームに応募してくるブラジル人の人も結構いる。彼らがオランダに職を求める動機はトルコ人に似ていて国内の問題が理由だが、政治ではなく経済の悪化が原因である。ブラジルはオリンピック・ワールドカップ以降急速に経済が悪化しているため、優秀な人材でもいい職に就きにくくなっている。そのためオランダを始めといて欧州に職を求めに来ている。ポルトガル語と英語はできるが、ポルトガルは経済規模が小さいの英語でいけてインターナショナルな企業が多いオランダ、という思考回路だ。

日本人データ分析者の動き

最後に興味深いのが日本人データ分析者の動きで動きは全くゼロ。この一年半で300件ぐらい履歴書を見たと思うが、日本人の応募は一件のみ。日本人のデータ分析者はおそらく、海外でチャレンジできるオポチュニティがあるとすら思わないのだろう。自分もそうだったから確信があるが、もうすこし日本人データ分析者も国際化してほしいものである。