ヨーロッパで生き残るすべ

あんまりデータ分析に関係ない投稿が続くが、これはこれでInsightfulなので書いておく。

過去を鑑みての反省点は、急激な組織の変化に伴い、職位が上がり、約20名のメンバーを監督する立場になったことにより、チームマネジメントとステークホルダーマネジメントを以前より、より一層求められることになり、さらに高い水準でそれら2つの点をこなさなくてはならず、未熟な部分が多々あり、失策が重なったということである。順に見ていこう。

チームマネジメントについては、ハイレベルのビジョンの設定に不透明な部分があった。ハイレベルとはレベルが高いという意味ではなく、抽象度が高いという意味である。チームのビジョンが不明確であり、あるいはビジョンと日々のタスクレベルの不整合があったため、結果としてチームの照準が狙った領域に効果的に注がれず、アウトプットの量と質が狙った領域に注ぎきれなかった。

具体的には、ステークホルダーに言われた要件に従って、忠実にデータの加工・抽出・提供する、あるいはビジュアライゼーションツールを使ってレポートを作成する、受け身のデータプロバイダーのメンタリティーを持った技術偏重型の分析者達を、ビジネス課題を理解し、先回りして積極的に分析結果から提案を行う、コンサルティング型の人材・チームへの転換を試みたがうまく行かなかった。

理由としては、リーダーの私が「どうやって提案型・コンサルティング型の仕事の仕方をすべきか」を具体的かつ事例を持って明確に体現できなかったことに尽きる。メンタリティーを変えるには身を持って示さないといけないのだ。例えれば餌の取り方をやって見せて教える親鳥のようなものなのだ。どうやってステークホルダーと会話し、明確な要件になってない潜在的なビジネス課題を見つけ、データ分析からアクション可能なInsightを提案して信頼を得ていくポジティブなサイクルを作れるか。これが私が体現して見せきれなかった部分である。

さてステークホルダーマネジメントについては、これが本投稿の意図になるが、アプローチが慎重すぎた。日本でのコンサルティング業務での経験を元に、ある程度話題・仮説をスライドで作り込んでからステークホルダーとの対話を持とうとしたが、結果としてステークホルダーとの対話の機会が減少・遅延し、機会損失に繋がり、チームの分析者にとっては無駄なスライド作成作業と認識され、反発も招いた。

欧州サッカークラブに移籍した選手がパス偏重のプレースタイルでは評価されないと言うことで、ゴールをなるべく決めてマーケットの評価を得て、ビッグクラブへの移籍を目指すのと非常に似ている。私のアプローチは、ステークホルダーに非礼にならないように極力準備してから話をすべし、あるいは話す時間もなるべく短くするのが忙しいエグゼクティブの立場のステークホルダーに対しては適切な態度であるという認識で臨んでいたが、それは欧州では全く真逆で逆効果であるということがわかったのである。言うは易く行うは難しで、長年日本で染み付いたこの考え方を変えるのは簡単ではないが、いかんせん変えなきゃ生き残れないから変えないかんのである。それゆえ本稿のタイトルとした。

極論、「自分勝手」になるのが私のような気使いで周りの顔色をうかがうような人間には必要である。例えば大人数が招集される会議に、私も出てますよ、と集団の一部に属していることをアピールするためだけに参加してはいけない。時間の無駄なばかりか、それで発言しないようであれば意見のないやつとしてマイナス評価になりうる。正しい態度は、自分にメリットになるような効果的な発言をしてその場を有効活用するか、そもそも会議に出ないでもっと自分のやるべきことに時間を使うか、あるいはその会議を主催する側になるのは最もいい。主催する側になるというのはもっとも評価が高い。なぜなら参加者側の人数分だけテコの原理で物事をレバレッジを効かせて効率よく進められるメリットがあるからである。コンサルティングの世界でいうと、コンサルティングサービスを売るために、ポリシーメイキングの段階からコンサルティングファームがロビーイング活動をして、自分に有利なルールをうまく政治家に根回しして作り上げ、「ほら新しいルールができたから業務改善が必要だよ。やり方わからないだろうから教えるよ。」とコンサルティングサービスを顧客企業に売るのと似ている。ルールを作る側に回るのは簡単ではないが、非常に効果的なのだ。一方でルールやスキームに従事する側になってしまっては他人の懐を肥やす使用人になってしまうのでなるべく避けるべきである。もっとも他者への礼節という概念はこれとは別なので、日本ほど極度に礼節をわきまえてはいけないが、ちょっと日本でいうと我儘じゃない?というレベルの強引さでアジェンダをふっかけて、私がリードしますと大々的に宣言するタマが必要なのである。欧州の人はそういった態度を素直に歓迎してくれる。