OKRによるゴール設定

データ分析に関わらず、プロジェクト・タスクの優先順位付けは非常に大事であるとともに、大変難しい。とくにCentralized型のデータ分析チームが、複数のステークホルダー、業務部門からタスクの依頼を受ける形式だと難易度が高まる。

理由としては、単一部門からの依頼のみであれば、その部門長と優先順位付けの会話を持って、ビジネスの優先順位に従ってデータ分析プロジェクトの優先順位付けをすれば良いからである。

しかしながら、複数の業務部門から依頼を受け付ける場合はそうはいかない。その場合のソリューションとしては、プロジェクト毎に期待されるReveue、Costの額を算出し、何とか部門AとBから来る異なる性質の複数プロジェクトを金額ベースで比較する、あるいは全社戦略とその優先順位を鑑みて、トップダウン形式で優先順位を付ける方法がある。私の経験上は後者の全社戦略からの優先順位付け作戦がシンプルかつ説明容易性にすぐれているのでオススメである。もっとも全社戦略がないからこのやり方が出来ないという場面も多々あったりする。

さて、優先順位付けのやり方を決めたら、次は(順番は逆でも良い)プロジェクトそのもののリストアップだ。但し、プロジェクトリストは確実に膨大、30-50になってしまうので、カテゴリ分けが必要になる。OKRがソリューションになる。

OKRは、マーケティングの祖であるPeter Druckerが1954年に開発し、John DoerrがIntelにて学び、かつその後Googleの最初の大きな投資会社として目標設定の指導に携わった結果、

Googleの目標設定手法」として有名になった。やり方としては

  • O=Objective、目標
  • KR=Key Result、Oを実現するために必要な手段、指標

を設定する。OとKRは1:Nの関係になる。例えば

  • O:データ分析チームを、単純なデータ抽出チームからもっとビジネスバリューの高いアドバイザー業務が可能なチームに変革する
  • KR1:アドバイザー業務に必要なプレゼン能力を高めるための研修をアナリストに実施
  • KR2:プレゼンテーションのテンプレートを刷新
  • KR3:当四半期中に3回以上、ディレクター以上の役職のステークホルダーにプレゼンを実施する

という形である。

しかしながら、OKRを設定するだけでは確実に絵に描いた餅である。データ分析チームの時間と労力が確実にOKRが設定されたプロジェクトに費やされるためには、定期的なOKRの進捗度の確認と、作業レベルへのOKRの紐づけが必要である。

進捗度の確認に関しては、週次ないし二週次のチーム会議でチームメンバーが確実に優先順位付けされたプロジェクトに時間と労力を費やしていることを確認する。

また「作業レベルへのOKRの紐づけ」のついては、JiraのEpicにKRを紐づけが、TaskないしStoryをEpicにぶら下げる。そうするとO→KR→Epic→Taskで1:N、1:1、1:Nの関係が出来上がる。これによりOKRで設定した目標に従ってメンバー全員が作業をしているか確認可能になる。ちなみにJiraの標準機能にOKRの設定は存在しないので、カスタムフィールドを作る必要がある。