根回しはオランダにもある

日本で働くうえで物事を円滑に進めるために「根回し」という、意思決定をする本番の会議の前に、個別の事前会議をキーマンと持ち、合意を取り付け、各キーマンの意向も取り入れ、本番の会議はそれのおさらいをするだけの出来レースになるという行為が行われる。よくこの根回しは日本独自の文化であり、非効率的、ムダが多く海外とくに欧米ではそのようなことは通用しないという意見があるが、実際にはオランダでもやっている。

もちろん頻度や程度は日本よりは軽いが、根回しはグローバルに有効な手段として存在するのである。特にビジネスコンサルティング出身の人はよくやる。複数人の合意を取り付けなければいけない案件であれば、全員を一度にミーティングによぶより、個別に撃ち落としていくほうが効率がいいし、対外それらの複数人のキーマンというのは似たようなポジション(Directorなど)で、お互いがライバルで、同じ会議だとお互いの意見を意識しあってしまったりして、ディスカッションの方向が良からぬ方向にいくリスクもある。そうなるとその人たちのほうが政治的パワーが上なので、軌道修正がむずかしくなっていしまう。

なので、個別セッションで個々人の意見を取り入れ、一個一個承認を得ていく日本式の「根回し」は有効なのである。

ロビー活動というのがあるが、これも同じである。ロビーの語源はホテルのロビーに出たり入ったりするということだと聞いたが、ようは政治というロビールームと、外部の経済界を行ったり来たりしながら、経済界のやりたい方針を政府の方針に入れ込み、かつ政府が利権を持てるように経済のほうにもインプットをするという人や活動のことを指す。これこそ根回しだけを本業として日夜動き回っている人が長く欧米にも存在することの証左である。